国籍はパラメータ化する

エストニアの e-residency 制度をご存知でしょうか。

人口 100万人のエストニアは、2025年までに1,000万人の電子住人を集めようとしています。安倍首相も2年前にエストニアの電子居住者になりました。

電子化によって、人が国を選ぶ時代が来つつあります。ブロックチェーン技術も相まって国家という概念が変わりつつある、その最初期に僕らはいる ということについて、書いてみます。

エストニアと e-residency

ヨーロッパのエストニアは、2014年から e-residenecy システムを採用してます。エストニアに物理的に住んでいなくても、電子的なエストニアの住人になれるという制度です。エストニア大使館で手続きをすることで、日本にいてもエストニアの電子居住者 (e-resident) になれます。

続きを読む “国籍はパラメータ化する”

どうしてAIに囲碁が打てるのか

人工知能 (AI) が数学の計算をするだけなら、なにも違和感はありません。
しかし、AIが囲碁の世界チャンピオンを倒す時代です。こうなるとAIの裏側で、単純な場合分け以上のなにかが行われている気配が漂ってきます。

こちらはGoogleの、自動で写真に説明をつけるAIです。これも人間らしい知性を感じさせます。


(引用元:Google Research Blog

今回はこの「AIの知性」が、どういうロジックで生まれているのかを書いてみます。計算機科学だけでも数学だけでもない、認知神経科学と哲学の交わるエキサイティングなところです。

続きを読む “どうしてAIに囲碁が打てるのか”

毎年 0.3歳ずつ寿命が伸びる人生

世界の平均寿命がどんどん伸びています。日本人も毎年、寿命がプラス0.3歳です。

誕生日が来て1歳増えても、その間に寿命が0.3年伸びる… つまり、実質的な老化は0.7年分です。

こう考えてみると、 “0.3” は案外大きい数字だと感じないでしょうか?

  • 1年で、0.3年分のお釣りが返って来る
  • 12か月生きても、3-4か月分は歳をとっていない
  • 24時間過ごしても、7時間分はノーカウント

続きを読む “毎年 0.3歳ずつ寿命が伸びる人生”

数学は社会で役に立つのか

数学は、ことわざに似ているなぁと思っています。

この世界から、ひたすら具体的なものを取り除いていったときに残るもの。そこに残ったパターンや関係性が、数学ではないでしょうか。

子どもは抽象的に考えるのが苦手なので、足し算をリンゴやミカンの数でイメージします。「1+2=3」という抽象的な概念に、具体例を当てはめて考えます。抽象的な数学 vs 具体的なものごと という構図です。

続きを読む “数学は社会で役に立つのか”

アナログコンピュータの時代

量子コンピュータやDNAコンピュータ、最近ニュースになることが少しずつ増えてきました。

日本人が発明した、粘菌コンピュータなんて言うのもあります。粘菌というアメーバ状の菌に迷路を解かせたり、都市間を効率的に結ぶ地図を作らせたりする技術です。

いま僕らはデジタルの時代に生きていますが、上記は “デジタル + アナログ” の技術です。粘菌コンピュータ、DNAコンピュータはアナログコンピュータですし、量子コンピュータ(の一部)もそうです。

僕は、アナログコンピューティングの技術は人類にとって、農業の発明や言語の獲得と並ぶような、歴史に残る影響力があると感じています。

インターネットもAI(データサイエンス)も十分すごいのですが、まだあまり世間に認知されていない、アナログコンピュータについて書いてみます。

続きを読む “アナログコンピュータの時代”

4次元は図示できる

4次元空間(時間を入れたら5次元)というと、SFやオカルト的に聞こえます。しかし4次元空間の想像に慣れると、4つの要素を同時に比較や処理できたり何かと便利です。

機械学習などのデータ分析では多次元ベクトル空間なるものを想定しますし、僕らが住んでいるこの世界がそもそも、3次元でも4次元でもなく、11次元(譲歩しても10次元)というのが物理学上の通説になってます。

11次元宇宙の話は別の機会にするとして、まずは4次元空間を図示してみましょう。

続きを読む “4次元は図示できる”

テクノロジーは勝手に成長する

テクノロジーは、それ自体が自らを進歩させる性質をもっています。人間がテクノロジーを進歩させているのではないと思うのですね。

そういう話について、思うところを書いてみます。

3つの論点があって、それらをまとめることで「テクノロジーは自ら進歩する」という話に戻ってきます。 続きを読む “テクノロジーは勝手に成長する”